the twenties

ロックやらなきゃ、ただのクズ
またひとり、ロックシーンに変なヤツが現われた。
タカイ リョウ。名付け親は不明。3才のとき、養護施設の前に捨てられ、そこで育つ。小学校ではケンカ修行に明け暮れ、中学校でバンドに目覚めるも金はなし。ラッキーにも国の補助金でギターをゲットする。しかし高校生になったとき、他の子供への悪影響を理由に、施設から放り出される。ピアス屋で働いているとき、隣の店にいたギターのウルマと出会い、twentiesを 結成。地元の九州・大分でちょっと名を上げると、深い考えもないまま上京。リリースした1stミニアルバム『Hello Good Bye』がセールスを伸ばす中、ライブ動員も順調に増加。今回、タカイの人生を自ら暴露した2ndミニアルバム『palm』を発売する。 

運がいいの か、悪いのか。この暴露アルバムを聴く限り、タカイの精神のバランスは非常に特異だ。書きなぐられたリリックには、自分の運命を恨んでいるのかどうかさえも分からない、悲惨な感情が渦巻く。たとえばリードトラックの「palm」では、♪君が与えてくれた 憎しみで優しくなれるよ♪と歌う。“palm”は手のひらという意味だが、タカイは自分の手のひらに隠した感情と闘うようにして歌を書いている。あるいは彼は、運命という手のひらの上で踊っているだけなことを自覚している。
一方でウルマの手になるthe twentiesのサウンドは、キーボードでなくギターで構築されたエレクトロ・ ダンスロックで、その超ポップなセンスがタカイの赤裸々な言葉をリスナーの耳にスムーズに届けてくれる。するとthe twentiesのメッセージの核である“ディストーションのかかったスピリット”が、リスナーの内部で爆発を起こすというわけだ。

タカイの心の中は、怖くてのぞけない。まずは彼の発した歌を聴くだけで充分だろう。そうして、the twentiesの4人は間違いなく、ロックをやっていなければただのクズだ。こんな危険なバンドのメッセージが、2月5日にこの国に解き放た れようとしている。若い人たちへの悪影響は必至だ。さあさあ、覚悟を決めておけ!

音楽評論家 平山雄一